ようこそ、おいでくださいました。 こちらは、素人絵師・袴田小袖、あるいは勘亭流書家・袴田笑尾壽(えびす)の作品を展示しているブログです。 〔好みのモノが売っていないのなら自ら作る〕を信条に、生活の中のゲージツと笑いを探求しています。 なお、当ブログ内の画像の著作権は全て袴田小袖および袴田笑尾壽にありますので、無断使用なさらぬよう宜しくお願い申し上げます。

日本の文様シリーズ 矢絣

広巾短冊 てぬぐい 3mm厚イラストボード 和紙 裏打ち紙 紐 ゴム紐 ハトメ金具 
たて49cm×よこ12.5cm

矢絣
 「私、失敗しないので。」という台詞で人気のドラマがありますが、私の場合は「私、絶対失敗しますので。」と言いたくなってしまう(笑)。特に時間の流れに沿って瞬時に判断をして行動することが苦手なんです。車の運転、料理、スポーツ、それに楽器の演奏など。立ち止まって考えたりやり直したり出来ないことは、結局オタオタして終わってしまう。
 だから手芸や絵画や工作や書道などは時間を掛けてなんとか「完成」までたどり着けるのですが、ものすごく効率悪いです(笑)。子供の頃から動作が鈍いと叱られ続けてきたので、やっぱり脳と運動神経の伝達が悪いのかな〜と。よく「手芸をしている間は何も考えずに無心になれる」と云う人がいますが、羨ましい! それだけ脳と手先が一体になって動かせていると云うこと。私の場合、あれだけ半衿を作って〔三ツ折りぐけ〕を経験しているのに、未だ縫い目の間隔が一定にならないし縫い目も真っ直ぐにならないので、数目すくってはやり直し…の繰り返しで無心になってる暇がないんです(笑)。どうも針を押す力加減がつかめないんですね〜。

 そんなこんなで、今年の発表会もバッチリ失敗しました。胸張って言うことじゃないんですがね(笑)。来年こそは一曲でも間違えずに弾けるよう、己を調教しなきゃいけませんな。変なツボ押さえたりスカ撥でもしたら電流が流れるようなギプスでも開発しようかいな(笑)。

 さて、失敗しても何度でも新たに書ける勘亭流書道の作品です。特に何の模様も柄もない鳥の子紙の短冊や色紙は同じものが安く何枚も手に入るので、安心して失敗できます。この「矢絣」も「矢」が難しくて1枚は失敗したと思います。あんまり書き直しが多いと1枚毎にアタリの枠線を測って引くのが面倒で、枠の型紙を2文字用から5文字用まで作りました。更に心置き無く失敗できるというもの。オイオイ、力の入れるところ違うぞ。練習だろー(笑)?

 「矢絣」はもともと、矢羽根模様の絣の織物のことを指していましたが、今ではこの模様自体のことをそう呼んでいます。矢は一度放たれると戻ってこないことから嫁入り道具の着物の柄によく選ばれたそうな。今時はブーメラン柄が喜ばれたりして…(笑)。しかも矢は前にしか飛んで行かないので前進あるのみ…として縁起の良い柄とされています。前にしか進まない〔勝ち虫〕として、戦国武将に愛された蜻蛉と同じですね。

 短冊掛けの手ぬぐい手ぬぐい専門店『かまわぬ』のモノを使っています。確か色違いが何点かあったと思いますが、女学生の着物っぽい紫にしてみました。

端唄譜面帖 H29年

墨 和紙 和紙ラベル カルトン ケント紙 スプレーのり 木工用ボンド ペーパーエイド
たて30.0cm×よこ22.7cm

2017(H29)発表会譜面帖 表紙
▽表紙裏はこんな色
2017(H29)発表会譜面帖 裏3

▽裏表紙にはバチ受けも完備
2017(H29)発表会譜面帖 裏バ
2017(H29)発表会譜面帖 中身
 やっと端唄発表会用の譜面帖が出来上がりました!本番3日前だったので、結構ギリギリです(笑)。でも、クオリティーは高いですよ。去年は尖ったバチの角でバチ受けに穴が開きそうになったので、今年は和紙の裏にケント紙を貼って補強しました。こうやって少しずつ改良しながら、何年も作っていると熟練してくるもんですね〜。三味線や唄に関してもそう言ってみたいもんです…ハハハ。
 今年は表紙用の和紙を買いに行く時間がなくて、我が家の在庫の中から選びました。いつ買ったのか覚えてないけど、包装紙に伊東屋のシールが付いていました。私にとっちゃ定番の唐草模様。しかもなかなか渋い茶色。昔の私も良い好みをしているわ〜(笑)。表紙裏の和紙も在庫から。錆浅葱色です。偶然ですが、このすこぶる好きな配色ができました。やっぱり好い買い物してるね、昔の私!
 手間取った『間がいいソング』の挿絵もこんな感じに収まっています。

 さあ、明日はいよいよ本番。とにかく演奏ストップしないように頑張ろう!

間がいいソング ができるまで⑤ 完

色紙 墨汁 マルスルモグラフ製図用高級鉛筆 マルスルモグラフブラック(カーボン鉛筆)
ユニホルダー  たて33.3cm×よこ24.2cm


間がいいソング5 完成 保存
 ハンコを押して完成です。2つとも予定の位置からズレました。おまけに歪んでいます。どーしても押印が下手くそな私です。

 ジーッと見ていると、頭に比べて手が小さ過ぎるのが気になります。継ぎ接ぎだから、やっぱりね。でも、手が大き過ぎる夢二の美人画の反対の効果を狙っているとでも言っておこう(笑)。

 萬龍さんの顔を初めてみた時、「魁皇(現・浅香山親方)に似ている!」と思いました。性別超えちゃってるけど…。多分、もってりとした鼻の印象がそう感じさせたのかもしれません。じっくり見て描いているうちに、だんだんとふっくらさせた浅田真央ちゃんに見えてきました。萬龍さんは際立った美貌や芸が注目されたのではなく、客あしらいもそんな上手くはなかったとか。ただ、ちょっと野暮ったいおっとりとした雅趣が魅力で、そこにいるだけでお座敷が盛り上がったそうです。お客さんも艶っぽい目で見るのではなく、おぼこくて可愛らしい娘を愛おしむ保護者の目になっていたのかも…。そんな雰囲気も共通するのかもしれないと、勝手に思っています。

 萬龍さんは幼い頃、訳あって置屋の養女になり、半玉の時代から人気者で19歳で大恋愛の末に結婚。数年で夫と死別し、再婚後もまた夫を亡くすというちょっと男運のない人でしたが、茶道の先生として多くの弟子に慕われる後半生を送ったそうです。そんな未来を知る由もない写真の中の萬龍さんはいつも寂しげな表情をしていて、描きながらついつい話しかけたくなってしまいます。「お座敷で困ったことない?」とか「お稽古は辛くない?」とか彼女を労わりたくなるのはすっかり彼女の魅力にはまってるんでしょうね(笑)。

 この絵を描いている間、楽しくて楽しくてドーパミン出っ放し!版画やハンコのような工芸的要素があるモノも楽しいけど、直接〔描く〕行為をする肉筆画はまた格別です。今回、マットな黒色の出るカーボン鉛筆やら芯がぐらつかず折れにくいユニホルダーも購入したし、これからちょっと鉛筆画にはまってみようかな。

間がいいソング ができるまで④

色紙 墨汁 マルスルモグラフ製図用高級鉛筆 マルスルモグラフブラック(カーボン鉛筆)
ユニホルダー  たて33.3cm×よこ24.2cm


間がいいソング4 背景まで 広い空間を鉛筆の線だけで埋めていくのは、雲をつかむような心持ちになります。そもそもモヤモヤとした雲のようなモノを描くんですけど、不自然でない形が難しい。まず、どこを濃くしたいか決めていきます。
 例えば、徳利の白磁の肌の白さと輪郭が際立つように、それとその下の自信のない袖が闇に沈んで目立たなくなるように、その周辺は濃くした方がよかろうと。そこで困った事態が発生。あ、署名が邪魔(笑)!せっかく書いたのに背景に埋もれて読めないのは悔しいじゃありゃしませんか。でも、その辺りは濃くした方がやっぱり良いのだ。悩みに悩んだ挙句、すごく不自然なモヤモヤになってしまいましたー(笑)。
 大まかな濃淡の位置を決めた後、とりあえず一番下の濃くしたい部分からB4ぐらいの濃さの鉛筆で細かく線を入れていきました。広い面積だし、飽きと疲れが募っているのでザッザッと長い線を引きたくなるんですが、そこは我慢我慢。この絵は油絵で云えば筆致を残さないスフマート技法を駆使したレオナルドを目指してるんです。ゴッホになっちゃいけねぇ!網掛けのように角度を変えて細かな線を描いて、仕上げはティッシュでサーっと擦って描線をボカシました。でも、結構線が残ってますよね。根気が限界…(笑)。
 文字の周りにもうっすらと濃淡をつけて、なんとか全体の調和は取れたと思います。古写真っぽくなったし、人物切り貼り感もなくなったんじゃないかな?

間がいいソング ができるまで③

色紙 墨汁 マルスルモグラフ製図用高級鉛筆 マルスルモグラフブラック(カーボン鉛筆)
ユニホルダー  たて33.3cm×よこ24.2cm


間がいいソング3 徳利・背景 首から下だけモデルの小福さんは右手に人形を抱き、左手であやすようにオモチャらしきモノを持っています。徳利を支えるように左手の手首から先の角度と向きを変えました。困ったのは右手。徳利は小さいので人形に隠れている部分も描かなければなりません。手の形と陰影は自撮り写真を白黒処理してスケッチしましたが、着物のシワと模様が…サッパリわからん!木綿の浴衣と正絹の柔らかモンでは質感が違うので悩みました。で、結局なんとなくごまかしています(笑)。
 徳利も自宅にあるのは陶器の武骨な雰囲気ばかりで、御座敷に出てくるような染付の白磁のがないので、似た形状の梅酢の空きビンを代用して自撮りしました。すました顔して浴衣着て梅酢のビンを持ってる写真…笑っちゃいます。誰にも見せられませんな。徳利にも時代の流れがありまして、たまに時代劇で口の広い現代的な物が使われてるとガッカリしますが、私も明治時代の徳利事情には疎いので、ちょっと調べてみました。「出石焼(いずしやき)」という白磁の染付が大流行していたそうで。イメージにぴったりだったので、いくつか画像を探して白黒印刷してスケッチしました。でもやはりかなり想像力で補わねばならないので、徳利全体が自信なさげな薄い描き方になっています(笑)。
 ちなみに、今でも結構多いんですが、かつてお酒の銘柄に「〇〇正宗」ブームがあったそうで。だから、歌詞には正宗だけが使われているんですね。徳利の柄がたまたま菊だったので「菊正宗」が中に入っていそうに見えますが、何正宗かは想像にお任せします。元祖「正宗」は灘の「桜正宗」だそうで、江戸後期に経典の「臨済正宗」からヒントを得、「清酒」の音に掛けて「せいしゅう」と読むお酒を売り出したのが始まり。流行るうちに訓読みになって広まったとか。元々ダジャレから始まってるって、面白いですなぁ。
 人物はほぼ完成です。このままだと切り抜いて貼ったコラージュのように見えるので、背景も描き込みます。写真館で撮った背景のような、何があるでもないモヤッとした感じです(笑)。文字のアタリがわかる内に、署名をしておきました。

間がいいソング ができるまで②

色紙 墨汁 マルスルモグラフ製図用高級鉛筆 マルスルモグラフブラック(カーボン鉛筆)
ユニホルダー  たて33.3cm×よこ24.2cm


間がいいソング2 着物・手ま 向かって左の目ン玉から描き始めて、その目の周りや眉を描き、次に右目に取り掛かりました。続けて鼻と口…と顔のパーツをあらかた描いたら髪に行きます。その時、せっかく描いた顔の部分を、鉛筆を持つ手でこすって汚さないように保護せねばなりません。要らない紙でも何でも置けばいいんですが、できれば濃淡の階調など全体のバランスを見ながら描きたいので、下の絵が透けて見える物が望ましい。そこで、無色のA4クリアホルダーで色紙を挟むことにしました。浅く挟んだり深く挟んだり自在に位置を変えられるし、ちょっとやそっとの風で飛ぶこともないのでとっても使い勝手が良うございました。こんな小さな発見が楽しくて堪りません。
 さて、首から上が終わると、着物に取り掛かります。実のところ反則だと思うんですが、着物の柄がゴチャゴチャしてて気が遠くなりそうなので(しつこいけれど時間ないし!)着物の部分だけ写真の輪郭をトレースしてしまいました。嗚呼モーレツに罪悪感…!肖像画の命である顔は、ちゃんと目で見て己の手でスケッチして描いたから、その証拠にちょっと似てないのです(笑)。ちなみに、求めるポーズの萬龍さんがいなかったので、首から下は新橋の「小福」さんなんです。トレースしたとはいえ、白黒の古い写真は影なのか濃い色なのか見極めが難しいところがあります。着物に親しんでなかったら、衿の合わせ目や肩上げや袖上げの構造自体がわからなかったかもしれません。ちなみに、萬龍さんも小福さんも撮影当時はまだ半玉さん(京で云えば舞妓さん)で初々しい可愛らしさです。

間がいいソング ができるまで①

色紙 墨汁 マルスルモグラフ製図用高級鉛筆 マルスルモグラフブラック(カーボン鉛筆)
ユニホルダー  たて33.3cm×よこ24.2cm


間がいいソング1 顔まで 端唄発表会の譜面帖用の挿絵、第2弾。『間がいいソング』です。この唄は以前にハイカラさんの髪型を揶揄した歌詞を紹介しましたが(参照:半衿 白地 矢絣)、今回はこちらの歌詞をテーマにしました。

酒は正宗 芸者は萬龍
 唄は流行りの 間がいいソング
  何て間がいいんでしょ


 〔巨人・大鵬・玉子焼〕と同じように当節人気のモノを並べています。「萬龍(まんりゅう)」は赤坂の芸者で、垢抜けないおっとりとした雰囲気が人気を呼び、絵葉書になったりポスターのモデルになったりしています。
 なので、今回はお酒「正宗」の宣伝ポスターを萬龍さんをモデルに作ってみようと思い立ちました。幕末明治の写真集の萬龍さんの写真を元にスケッチを始めましたが、徳利を持っているポーズがないので、他の芸者さんたちの写真を参考にしたり、自ら(浴衣でしたけど)徳利サイズの瓶を持って写真に収めたり…下絵を決めるまでにモタモタしてしまいました。時間がないぞ(笑)!
 さて、取りい出しましたる真っさらな色紙。ここにまず勘亭流で文字を書きます。先に文字を書く理由は、背景にも鉛筆で描き込む予定なのでその上からだとアタリが見えづらく書きにくいからです。下絵の線を色紙に写して、いよいよ鉛筆で描き込んでいきます。いつもなら薄い部分から恐る恐る(笑)描き始めるところですが、今回は濃い部分から、しかも目の玉から描く方法を取り入れてみました。さぁ、最後まで挫折せずに、うまく描けるんでしょうか?この後の展開は何回かに分けて紹介して参ります。乞うご期待!

半衿 白地 青海波に千鳥

木綿 たて4寸(15cm)×よこ120cm
白地 青海波に千鳥
 これも夏っぽい半衿です。黒地に白抜きの色違い(参照:半衿 黒地 青海波に千鳥)はすでにアップしておりますが、色が変わるだけでずいぶんと雰囲気が違いますね。
 初めは「サッパリ系」だと思っていましたが、実際に着けてみると案外ゴチャゴチャしています(笑)。
 遠目からは刺し子のふきんに見えるかもしれませんな〜。

半衿 麻サンゴ無地

木綿 たて4寸(15cm)×よこ120cm
麻サンゴ無地
 季節遅れですが、夏向きの半衿。珊瑚色の麻地です。実は、イカサマ襦袢の袖に使った余り布です。(参照:イカサマ襦袢 白 麻珊瑚袖)
 縫い上がったのが夏も終わった後だったので、まだ未使用です。無地なので色んな着物に合わせやすいかなと思ってます。麻でシボ(凸凹)があるのできっと涼しいはず。来年の夏が楽しみです。年々暑さが酷くなってますからね〜。もう着物は〔日本の風土に合った衣装〕とは云えなくなってきた気もしますが(笑)、熱帯になっても工夫して着続けたいですな。

半衿 紫市松地菊

木綿 たて4寸(15cm)×よこ120cm
紫市松地菊 去る9月9日は重陽の節句。中国からの影響で、おめでたい奇数の中でも最大の数字である「9」が2つも重なることから、長寿や繁栄を願ってお祭りをしたそうな。中国には菊の露を飲んで不老不死となった『菊慈童』の伝説もあるし。この日は菊の盛りの時期でもあり、菊の花びらを浮かべた酒など風流な楽しみをした…と云 うのは、旧暦のこと。新暦の9月上旬はまだ菊の盛りではありません。こんな季節のズレが、いまひとつ重陽の節句が浸透しない理由でしょうかね。
 一方、お月見はまだまだ人気があるようで、10月4日の十五夜の日の夕方にお月見団子を買いに行ったら売り切れていました。仕方がないので、ちょっと大きいけど形状が似ている大福にして、隣の花屋でススキを一本買ってぶらぶらと歩いて帰りましたとさ。こんな時期に似合いそうな、菊の半衿です。